『舟を編む』のストーリーの中の外注の支払いが気になって

『舟を編む』という映画があってDVDで見ました。

辞書を編集することになった馬締光也(松田龍平)が15年(だったかな)かけて辞書を編纂していくというストーリーで日本映画らしい静かで深みのある良い映画だったと思います。

この映画、一人の観客としてストーリーを追うと感動作なんですが、外注として仕事をしていた者としては、15年の間に印刷屋さんや製紙会社への支払いはいつ行われたのかが気になってしょうがありません。

こまかなストーリーは覚えてませんが、初校が出てきたのは10年くらいたってからでしょうか。仮にそうだとすると印刷会社としては完成までに5年間が費やされたわけです。おそらくその間の支払いはゼロでしょう。映画では、辞書のために専用の紙も用意しています。ということは紙屋さんへの支払いも辞書の完成後なのでしょう。

主人公は大手出版社の社員なので15年間の間も給料は支払われるわけですが、外注側は支払いはゼロなわけです。まぁ、辞書を担当する印刷会社も紙屋さんも大手だから5年くら何ともないのかもしれませんが、私のようなフリーランス映画を見ながらも支払いについて頭から離れません。

場合によっては先に一部支払われたりすることもありますが、組版が印刷会社からさらに外注されていたりすると、おそらく外注者として完成までタダ働きということになります。もちろん、このしごとにすべてを集中するわけにはいきません。

しかも、その間に発注先が潰れちゃったら大変です。

長い時間をかけて丁寧な仕事をする、これはその間の地位や所得が保証されてる人にとっては美しい話かもしれませんが、外注される側にとっては何年もお金にならない辛い仕事の思い出を作ることになるだろうな、と思ったのでした。

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